在宅の介護に疲れた人に、施設入所を進める理由

布団で寝込んでいる高齢者の横に、介護に疲れた人が佇んでいる

 在宅介護をしている人であれば、介護の悩みが1つ2つは必ずあるでしょう。もしかしたら、体力や精神的に限界を感じている人も多いかもしれません。しかし、介護負担の軽減を理由に、安易に介護施設や老人ホームの入所を決める事に抵抗を感じてしまう人もいると思います。その理由は様々だと思います。金銭的な事、親に対する罪悪感、入所施設の知識が無い事での不安など。そこで今回は、施設で働いているスタッフとして、施設入所を勧められる理由を書いていきます。悩んでいる家族の方は、ぜひ読んでみてください。

介護施設って、どんなところ?

 まずは、介護施設がどんなところなのかを簡単に説明します。詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。

Q
どんな場所なの?
A

高齢者が日常生活や医療的なケアを受けるための場所です。

Q
どんな種類があるの?
A

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームなどの種類があります。

Q
どんな事をしてくれるの?
A

居住スペースでの食事、入浴、トイレなどの生活支援、医療的ケア、レクリエーション、他者との交流などのサービスを提供しています。

Q
どんな人が入れるの?
A

施設の種類によって、介護度や入居者の年齢に条件があります。また、必要な医療ケアの内容も関係します。他に、入居費や保証人・身元引受人なども必要になります。

施設入所をすすめる5つの理由

その① 家族の生活が守られる

 施設に入所することで、専門スタッフらが24時間体制で介護をかわってくれます。家族は、介護に使っていた時間を、趣味や生活に使う事が出来るでしょう。また、身体的・精神的負担も軽減される事で、ゆっくりとした休息時間を得る事も出来ます。心の余裕が出てくる事で、介護疲れによる家族間のトラブルのリスクも減ります。

その② 自分の好きな仕事が続けられる

 介護に必要な時間が減る事で、仕事の継続が可能となります。在宅介護では、認知症の進行などにより、介護負担が増えると、仕事の時間を減らしたり、休む必要が出てくるため、夢をあきらめたり、収入が減る可能性があります。在宅で介護する事で介護費用を抑える事が出来ても、収入が減ってしまえば、結果的に金銭面の負担は大きくなります。介護休暇などの制度もありますが、介護が長期的になれば、仕事の継続は難しくなることが多いと思います。

その③ 質の良い介護が得られる

 施設には、専門スタッフが配属されています。在宅では、難しい入浴や排泄介助などを専門スタッフが行う事で、入所者の満足度も高くなります。例えば、在宅ではオムツでしか対応出来ない人でも、介助でトイレでの排泄が出来たり、シャワー浴しか出来なかった人がゆっくりと入浴が可能になったりします。実際に、利用者さんと話していると、「ここでは、ゆっくりお風呂に入れるのがうれしい」と言った言葉を聞くことがあります。

その④ 医療や安全面が、在宅よりも充実している

 介護施設には、介護士のほかにも、看護師やリハビリスタッフなどの専門スタッフが配属されていることが多いです。看護師が居る事で、定期的な健康チェックが行われ、在宅に比べ体調不良の早期発見や緊急時の対応にも優れています。また、リハビリスタッフが継続的なリハビリを提供する事で、心身機能の維持が望めます。また、本人に合わせた環境調整も行われます。ほかにも、介護施設では、利用者の安全のためにバリアフリー設計や転倒防止の対策が行われています。また、火災や地震などの災害対策も施されており、在宅介護に比べて安全な環境が提供されるでしょう。多数の介護用品も用意されているので、個人にあった対応が可能になります。

その⑤ 本人も喜ぶ

 よく家族から、入所の相談を受けます。本人が望んでいない事や罪悪感を感じている事が理由として多いですが、入所してみると意外に喜ぶ利用者さんは多いです。理由としては、家族に気を使わないで済む、似たような歳の人が多くて楽しい、スタッフの人が優しいなどです。もちろん、家に帰りたいと言う方もいます。しかし、介護される側も家族に対して気を使っている事が多く、お互いに距離を保てることを喜ぶ人が多い印象です。世の中、やってみないとわからない事は多いです。入所を悩んでいる場合は、短期入所サービス(ショート)を利用するのも良いかもしれません。

お互いのためになる、選択をしよう

 今回は、施設入所のメリットを中心に記事を書きました。もちろん、デメリットもありますし、家族や介護される方の状況によって変わることも多いと思います。しかし、どんな状況でも一番大事な事は、お互いのためになる選択をする事だと思います。どちらかだけが我慢をすれば、結局相手にも負担がかかってくる事が多いです。お互いの考えをすり合わせながら、一番良い選択をしてもらえたらと思います。

最後に、この記事を読んでくれて、ありがとうございました。

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