認知症高齢者の食事介助のコツ。ムセ(誤嚥)を防ぐための心構えと対策!

食事でムセている高齢者

 

記事のポイント!
  • ムセ(誤嚥)の仕組みが分かる
  • ムセ(誤嚥)の原因と対策が分かる
  • 介護初心者の家族向けの内容!

家で食事をしている時に、おじいちゃん・おばあちゃんがムセ(誤嚥)る時はありませんか?

高齢者にとって、このムセ(誤嚥)は、誤嚥性肺炎の原因にもなる大きな問題です。

しかし、適切に対応すれば予防する事が出来ます。

この記事では、ムセ(誤嚥)の原因とその対策について、分かりやすく具体的に書いてみました。

在宅で介護している家族の方や施設で働いている方は、是非読んでみてください。

まず、ムセ(誤嚥)を理解しよう!

簡単に言えば、食物や液体が気道に入り込んでしまうことを、ムセ(誤嚥)と言います。

ただ、自分たちが普通に食事をしていたら、ムセ(誤嚥)る事なんて無いと思います。では、なぜ高齢者に多いでしょうか?

それは、加齢や病気などにより、飲み込む力が弱くなってくるからです。

特に、認知症がある高齢者は、早食いや口の中に詰め込む人など、ムセ(誤嚥)に対して危険認識が低い事が多いです。

そのため、認知症があると一般的な高齢者よりもリスクが高いと思います

また、ムセ(誤嚥)には、無症状で起こる不顕性誤嚥と言うものもあります。

これは、ムセ(誤嚥)の症状が見られないため、本人の自覚症状もなく、家族が気づく事も難しくなります。

そのため、症状が見られていない高齢者であっても、普段から予防をする事が大事です。

ムセ(誤嚥)の原因を知る事が、対策への第一歩

まず、ムセ(誤嚥)の症状としては、「咳き込む」「熱が出る」「息苦しそうにしている」などがあります。

これらの症状に、いち早く気付くことが大事です。そして、その原因を考える事で対策に繋がっていきます。

ここでは、原因と対策について具体的に書いてあります。

それらを参考に、予防していきましょう。しかし、原因は1つだけとは限りません。色々なパターンを想定しましょう。

「嚥下機能の低下」が、原因の根底になる事が多い

 ムセ(誤嚥)の原因は色々ありますが、その根底には、嚥下機能の低下が関係していることが多いです。

嚥下機能とは、簡単に言えば「飲み込む力」「噛む力」など食べるための能力の総称だと思ってください。

これらは、加齢や病気により能力が低下してきます。

また、嚥下機能が低下している高齢者は、少しの環境の変化でもムセ(誤嚥)を引き起こしてしまいます。

対策:専門のリハビリや運動を取り入れて、嚥下機能の改善に取り組む

 リハビリには、言語聴覚士(ST)という分野があります。

言語聴覚士は、言語や嚥下(食べたりする能力)などを専門にしているリハビリスタッフです。

このスタッフから、専門のリハビリを受ける事で嚥下機能の維持や改善が見込めます。

ただ、理学療法士や作業療法士などに比べると、在籍している施設も少ない印象があるため、外来リハビリや通所や訪問を考えている病院や施設に確認しましょう。

また、食事関連の相談にも応じてくれるので、心強い味方になります。

他にも、家族でも出来る在宅での運動なども聞いてみましょう。

「食事形態が合っていない」と、ムセ(誤嚥)やすい!

 本人の嚥下機能(飲み込んだり、噛む力など)に食事形態が合っていないと、ムセ(誤嚥)の原因になります。

食事形態と言っても、色々な事を考慮する必要があります。

ご飯であれば「柔らかさや・水分量」、おかずであれば、「柔らかさ・水分量・大きさ」などになります。

食材によっては、高齢者に向いていないものもあります。

また、それらを考慮した上で、本人に必要なカロリーなども考える必要があります。

対策:専門スタッフに相談し、適切な食事形態で提供する

本人に合った食事形態を考える事は、家族には難しいと思います。

主治医や利用している介護施設などがあったら、施設の専門スタッフに相談しましょう。

分からなければ、担当してくれているケアマネ(介護支援専門員)に相談する方法もあります。

もしも、家族や本人の都合で、調理が難しいのであれば、宅配サービスなどの利用も手段の1つだと思います。

今は、ドラッグストアーやインターネットでも、色々な形態のものが手軽に買えるので、購入する事も出来ます。

ムセ(誤嚥)やすい食材とは・・・

  • 歯ごたえのない食べ物(もやし、こんにゃく、など)
  • 粘り気のある食べ物(もち、とろろ、など)
  • 食べ物が固い食べ物(肉類、干物、くるみなど)
  • 繊維質が多く食物のかたまりになりやすい食べ物(にんじん、セロリ、リンゴ、バナナなど)

「認知症高齢者」は、ムセ(誤嚥)やすい!

本人の危機管理が不十分な事で、ムセ(誤嚥)に繋がる事も多くみられます。

例えば、食べるスピードが早かったり、口の中に残っていても、次々と口の中に詰め込んでしまう人、食事に集中出来ずにキョロキョロと落ち着けない人などです。

このような症状がある人は、ムセ(誤嚥)の可能性が高くなります。

本人の性格や生活習慣もありますが、認知症高齢者の人に多く見られる印象を受けます。

対策:自分で食べる人であれば環境調整が必須だが、場合によって介助も必要

介助で食べている人であれば、介助者がペースや一口量を調整して対応しましょう。

自分で食べている人であれば、ペースや一口量を声掛けして調整する必要があります。

しかし、認知症などがあると声掛けだけでは、中々直らない事が多いです。

また、家族も常に見守りや声掛けを行う事は、時間的にも難しいでしょう。

そういった時には、環境調整が必要になります。例えば、「小分けにして、少しづつ提供する」「食べるスプーンを小さくして、一口量を調整する」「箸を使用して、わざと食べにくくする」などです。

また、集中が出来ない人に対しては、TVなどが無く、静かに落ち着いて食べれる環境を作る必要もあります。

しかし、そんな対応にも変化が無く、ムセ(誤嚥)の可能性が高い人は、まず安全を一番に考えて、全てを介助で食べる事も一つの方法だと思います。

「姿勢が悪い」と、ムセ(誤嚥)やすい!

 「寝て食べる人・座って食べる人」「介助の人・自分で食べる人」どんな人でも食事の姿勢は大事です。

嚥下機能が低下している高齢者であれば、姿勢が少し悪いだけで、ムセ(誤嚥)が起こります。

また、本人の意識に関わらず、筋力低下や認知機能の低下により、姿勢が崩れてしまう人もいます。

対策:声掛けだけで難しい時は、道具を使って良い姿勢を作ろう

「傾いている」事を伝える程度で、姿勢が修正出来る人は良いですが、筋力の低下や認知症が進んでいる人であれば、それが難しい時が多いです。

こういった時は、家にあるクッションなどを使って、姿勢が保持出来るように環境を整えてあげましょう。

また、介護用品の中にも姿勢を保持するための専用のクッションが幾つもあります。

家のクッションで上手く出来ない場合は、そういった物を利用するのも良いと思います。

「口の中の環境が悪い」と、ムセ(誤嚥)やすい!

 口の中の環境と言っても、色々あります。例えば、口の中が不衛生であれば、口内炎や歯周病が起こりやすくなります。

これらは、食べている時に痛みを伴うため、上手く食べれずムセ(誤嚥)の原因になります。

他にも、入れ歯が合っていない時は、上手く食物をかみ砕く事が出来なくなり、ムセ(誤嚥)の原因になります。

しかし、認知症があると自分から上手く伝えられない時があります。

そのため、介護をする家族が毎日の介護の中で気づく必要があります。

対策:食後の口腔ケアは必須!

口内炎や歯周病の予防には、食後の口腔ケア(歯磨き)は必須です。

また、口の中の清潔が保持できると、誤嚥した時に誤嚥性肺炎に繋がるリスクも減らす事も出来ます。

他に、高齢になると歯茎が痩せてきます。そうすると義歯が合わなくなる原因になります。

加齢による部分は仕方ないですが、入れ歯を外している時間が長くても、歯茎が痩せやすいと言われます。

出来る限り、入れ歯を外す時間を短くすることも大事です。

「覚醒状態が悪い」と、ムセ(誤嚥)やすい!

高齢者は、睡眠状況や服薬の影響、その日の体調などにより、覚醒状態にムラが出やすいと思います。

食事の時に、眠そうにしていたり、話しかけても返事が遅い時などは、無理して食事をすすめると、ムセ(誤嚥)る可能性が高くなります。

また、逆に興奮しすぎて、食事に集中出来ない時も、ムセ(誤嚥)の原因になるので注意が必要です。

対策:食事中の観察だけではなく、日ごろの生活リズムの改善にも取り組もう

覚醒状態の変化については、食事中の観察が重要です。

しっかりと開眼しているのか、手が止まっていないかなど、本人の状態を確認しましょう。

また、新しい薬が出た時は、その薬の副作用としてどんなものがあるのかを、主治医に確認しておきましょう。

しかし、これらはあくまで対処法です。根本的な対策としては、生活リズムの改善も必要です。

高齢者になると、日中の活動量が低下(ベッド上で過ごす時間が増える)して、夜眠れなくなり、徐々に逆転してしまう事(昼夜逆転)があります。

こうなると、日中に眠くなるため、食事中にも寝てしまう事が増えます。

これを防ぐためには、日中はなるべくベッドから離れて活動的に過ごす事が大事です。

ムセ(誤嚥)を予防して、毎日の食事を楽しもう

 この記事では、高齢者のムセ(誤嚥)について、その原因と対策を書いてみました。

しかし、対策の中には、家族だけでは難しく専門スタッフの協力が必要なものもあります。

主治医やケアマネ(介護支援専門員)に相談しながら、対応していきましょう。

高齢になると、「食べる事が一番の楽しみ!」と言われる方も多いです。

その楽しみを守るためにも、家族や自分たち専門スタッフが協力していけたらと思います。

最後に、この記事を読んで頂き、ありがとうございました。

 

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました