在宅介護と施設入所のメリット・デメリットを7つの項目で比較。

 親の介護が必要になった時、家で介護をする在宅介護と、施設に入所する2つの方法があると思います。しかし、どちらにもメリット・デメリットがあるため、悩んでいる人はいませんか?この記事では、在宅介護と施設入所のメリット・デメリットを、7つの項目で比較してみました。また、どんな人が在宅介護・施設入所に向いているのかも考えてみます。

親の介護にてついて、悩んでいる二人が立っている

在宅介護のメリット・デメリット

 在宅介護で一番大きなメリットと言えば、「金銭的負担が抑えられる」ところです。また、デメリットでは、「身体的・精神的介護負担が大きい事」と「安全面の管理が難しい所」が、一番の問題になってくると思います。

メリット
  • 金銭的負担が抑えられる
  • 高齢者の満足度は高い傾向
デメリット
  • 身体的・精神的介護負担が大きい
  • 安全面の管理が難しい
  • 健康面の管理が難しい
  • 対人交流の場が限定しがち
  • 生活動作の維持が難しい

施設入所のメリット・デメリット

 施設入所で1番大きなメリットは「身体的・精神的介護負担が少ない」ところだと思います。これは、入所を希望する目的にもなると思います。また、家族が入所をためらう要因としては、デメリットである「金銭的負担が大きい」所と、高齢者が入所を嫌がる事で、「本人の満足度が低下してしまう」所だと思います。

メリット
  • 身体的・精神的介護負担が少ない
  • 安全面の心配が少ない
  • 健康面の管心配が少ない
  • 対人交流の機会が多い
  • 生活動作の維持がしやすい
デメリット
  • 金銭的負担が大きい
  • 高齢者の満足度は、低くなりがち

在宅介護と、施設入所の比較

 それでは、比較しやすいように項目別で、両者を比較した表を作成してみました。この表にある項目別に、在宅介護・施設入所について説明していこうと思います。

項目在宅介護施設入所
身体的・精神的
介護負担
多い少ない
金銭的負担少ない多い
安全面管理が難しい心配が少ない
健康面管理が難しい心配が少ない
対人交流限定されがち機会が多い
生活動作維持しにくい維持しやすい
本人の満足度高い傾向低くなりがち
在宅介護と施設入所の比較

身体的・精神的な介護負担

 ここでは、介護負担の中でも、身体的負担と精神的負担について書いています。家族で介護するのか、施設入所をすすめるかを決める時に、大事な判断材料になると思います。

在宅介護 (介護負担が大きい)

 在宅介護を選択した場合、入浴や排泄介助、食事や着替えなど生活全般での介護を家族が負担するため、身体的負担は大きくなります。立ち上がりや起き上がりなどの介助を継続的にしていると、介助者は慢性的な腰痛や肩コリに悩まされる人も出てきます。また、認知症が進行してくると24時間体制で見守りが必要になってくる事もあるため、休息時間や睡眠時間が十分に確保できなくなることで、介護者の身体的負担はさらに大きくなります。

精神的負担では、介護者がいつも、安全面や体調などを気に掛ける必要があるためストレスを感じると思います。また、自分の親など、自分に近い人が少しづつ弱っていく姿は、精神的に見ていて辛いものです。また、介護に追われる事で、自分の趣味や休息、または友人と遊ぶ時間などが減っていく事でも、精神的ストレスを感じる人も多いでしょう。

施設入所 (介護負担が小さい)

 施設に入所すると、介護専門のスタッフが必要な介護を全て代わりしてくれます。特に介護が大変な場合は、家族の身体的な負担を大きく減らしてくれる事になると思います。

しかし、精神的な負担までもが全部なくなるわけでは無いです。家族は、施設に入所させた事に罪悪感を感じたり、離れて暮らす入居者の心配など、色々な精神的な負担が増える事があります。特に初めて施設に入所する時は、このような気持ちが大きい印象を受けます。

金銭的負担

 金銭的な問題は、介護が始まってから考えると、負担する割合などで親類や家族ともめる原因になります。事前に、どんな事に、どのくらいのお金が掛かるのかをしっかりと調べて、だれがどのくらい払うのか具体的な所まで決めておきましょう。

在宅介護(少ない)

 施設入所に比べれば、金銭的負担は少なく済むと言われています。その理由としては、必要なサービスを厳選する事で、サービスに掛けるお金を節約出来るからです。しかし、金銭的負担が無いわけではありません。介護用ベッドなど必要な介護用品のレンタルや、家族の介護負担軽減を目的としたサービスを利用する場合は、金銭的負担は増えていくでしょう。毎月一定の金額が必要な施設に対して、在宅介護では、「家族の負担は増えるが、金銭的負担を減らそうと思えば減らせる」っていうのが正確な言い方かもしれません。

施設入所(多い)

 施設入所では、入居費用や食事費など、毎月一定の費用が必要になります。しかし、入居する施設の種類や提供されるサービス、施設のある地域によって、費用が大きく変わります。また、グループホームなど一部の施設では、月額費用と別に、入居時に初期費用が必要な施設もあります。在宅介護との大きな違いは、「基本的に、毎月決まった金額が必要である。家族の努力で費用を抑える事は難しい」と言った事でしょうか。

安全面について

 体の機能が低下すると、それだけ転落や転倒など、安全面への配慮が必要になってきます。また、体が元気でも認知症が進めば、一人で外に行って迷子になったり、交通事故にあったりする可能性があるため、居場所の確認や行動を見守る必要が出てきます。

在宅介護(管理が難しい)

 在宅介護では、家の環境が介護に適しているかが大切です。例えば、転落や転倒に対しては、床が滑らない材質なのか、段差には手すりが設置されているか、暗い場所はないか、床は片づけられているか、本人は適切な歩行補助具を使用しているかなどです。また、認知症の方であれば、センサーやモニターなどを使用し、居場所の確認や行動の見守りが出来る環境になっているかです。しかし、これらの環境調整を全てする事は在宅では難しく、家族だけで見守りを行う事も物理的に難しいのではないかと思います。

施設入所(心配が少ない)

 一方、施設入所では、元々介護に向けた環境設定になっているため、滑りにくい床材が使用されていたり、廊下やトイレなどに手すりが設置されています。また、専門のスタッフが24時間体制で見守りが出来るようになっており、必要時にはセンサーマットやセンサー付きのベッドを使用する施設もあります。また、最悪転倒・転落が起きてしまった時も、対応できる体制が整っているため、在宅に比べ迅速な対応が可能になっていると思います。そのため、在宅介護にくらべ安全性が高く、心配が少ないと思います。

健康面について

  健康面の管理とは、毎日の体調管理だけではなく、服薬の管理や、食事の管理、排便状況など多岐にわたります。認知症などがあると、自覚症状を訴える事が難しくなるため、特に客観的に確認することが大事になるため、専門的な知識が必要になると思います。

在宅介護(管理が難しい)

 在宅介護では、一般的に家族が介護を行っていると思います。しかし、家族が医療の専門的な知識を持っていない場合が多く、症状に対しての適切な医療処置や服薬管理について、判断をする事は難しいと思います。また、急な体調変化など緊急性のある状況の対応も難しいでしょう。

他に、食事管理についても、一般的な家庭で本人の状態に合わせたカロリー計算や、食事形態を考えて、ご飯を作る事も難しいと思います。

施設入所(心配が少ない)

 施設入所の場合は、介護スタッフ同様に、専門の医療スタッフが健康管理をしてくれるところが多いです。これにより、介護が必要な人の健康状態を適切に管理し、何かあればすぐに対応してくれるでしょう。毎日の適切な健康管理は、病気の予防にも繋がり、家族は安心できると思います。

ほかにも、施設では栄養バランスを考えた食事を作ってくれます。また、食べやすく細かく刻んだり、ご飯を柔らかめに炊いたり、その人にあった食事形態で提供してくれます。

対人交流

 高齢になってくると、徐々に対人交流の場は減ってくる事が多いです。一人で部屋に引きこもる事で孤独感を強く感じたり、日中の活動性の低下します。しかし、すべての人が社交的な活動を好むわけでもないため、その人にあった環境を提供する事も大事になると思います。

在宅介護(限定されがち)

 在宅介護では、外出が難しくなる事が多く、家の中で過ごす時間が長くなるため、限定的な範囲の中での生活になりやすいです。そのため、家族以外の人と交流する機会が少なくなる可能性があります。

施設介護(機会が多い)

 一方、施設に入所すると、他の入居者もいるため、在宅介護に比べると、家族以外の人と出会う機会が増えます。また、多くの施設では、社交活動やレクリエーションなど、他者との交流を積極的に行えるような場を提供してくれることが多いのも特徴だと思います。ただ、一人の時間が好きな人もいます。その場合は、積極的な対人交流を負担に感じると思います。

生活動作の能力

 家族であれば、自分の親に、いつまでも元気で暮らして欲しいと思うでしょう。しかし、高齢になれば、だれでも体は弱ってきます。そして、介護が必要になってくるでしょう。しかし、適切な運動や介護をする事で、その進行を遅くすることは可能だと思います。

在宅介護(維持しにくい)

 在宅介護の場合は、家族が専門的な知識や技術を持っていない事が多いため、適切な運動やリハビリテーションを提供はする事は難しいと思います。これにより、介護を受ける人の生活動作の能力維持が難しくなる場合があります。また、家族が介護に使う時間には限りがあり、本人の出来る能力を正確に把握する事も難しいため、どうしても過介助(本人が出来る事も介助してしまう)になりがちです。このことも、生活動作の能力が維持しにくい原因になってると思います。

施設入所(維持しやすい)

 施設には、生活動作の能力維持や改善に向けた運動や介護を提供する専門のスタッフがいます。介護を受ける人が、可能な限り自立した生活が送れるように、生活リハビリや機能訓練を提供します。また、高齢者の状態の変化を常に把握し、適切な介護が可能になる事で、過介助にならず、本人にも過度な負担が掛からない事も利点の一つでしょう。

本人の満足度

  これは、本人が何を望んでいるのかによります。もしかしたら、自分が書いている記事とは全く別の思いの人もいるかもしれません。本人の希望をしっかりと確認し、それを満たした生活スタイルを考えることが大事だと思います。

在宅介護(高い傾向)

  在宅介護では、住み慣れた家で継続して過ごせる事で、安心感や安定感を感じる事が出来ると思います。また、家族が常に近くにいる事を喜ばれる人も多いと思います。しかし、必要な介護が増えてくると、環境や設備など施設に比べ在宅では足りない部分が増えてきます。そうなると、自由度は限られてくる可能性があり、本人が望む生活スタイルを続ける事が難しく、満足度も低下する可能性があります。

施設入所(低い傾向)

 自宅とは異なる環境での生活となり、自由度やプライバシーも制限される可能性が高いため、不満を感じる人は多くなると思います。そのことから、満足度は低くなるでしょう。しかし、施設では、専門のスタッフから介護やリハビリ、健康管理などを受ける事が可能です。そういった事を望んでいる方には、充実しており満足度も高くなると思います。ただ、自分が勤める施設の入所者に「施設と家とどっちがいい?」と言った質問をすれば、家と答える人は多い印象があります。理由を聞くと、一番は家族と一緒に住める事だと言われます。

記事のまとめ:在宅介護or施設入所が向いていると思う人

 この記事では、在宅介護と施設入所について、介護負担や金銭的負担、安全面の配慮など介護を考える時に、大事だと思う項目を比較してみました。また、この記事内容から「どんな人が、在宅介護・施設入所に向いているのか」を表にしてみたので参考にしてみてください。

在宅介護が向いてると思う人
  • 介護負担が少ない
  • 金銭的負担を少しでも減らしたい
  • 家族との生活を望んでいる
  • 緊急性を生じるような持病などが無い
施設入所が向いていると思う人
  • 介護負担が大きい
  • 安全面の配慮が重要
  • 専門的な健康管理が重要

  最後に、この記事を読んでくれて、ありがとうございました。

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